契約書や規約等を弁護士に依頼して確認することの意味

はじめに

 コラム一本目として、このコラムを読まれている皆様において、今まで弁護士に依頼をされたことがないという方やスポットで部分的に依頼されたことがあるくらいという方も多いかと存じますので、契約書や規約のドラフト・レビューはもちろん、法律相談をすることの意味について、解説します。

弁護士に相談・依頼する意味

(1)皆様がこれから何か新しいサービスを展開しようと考えたと仮定します。
 サービス内容を構想し、料金面含めた設計をしたとして、提供開始をしようとしたときに、規約や契約書が必要になるでしょう。この時点において、モデルにしたサービスや似たようなサービスの利用規約をそのままコピペしたとします(なお、利用規約をコピペすることは著作権侵害となるおそれがあります)。
 果たして、その利用規約はそのまま皆様がこれからやられるようとするサービスに適合するのでしょうか。そもそも、そのサービスは適法なのでしょうか。
 これらを検証するに際して必要となるのは、民法、消費者契約法、特商法、その他の法律の理解です。なぜなら利用規約や契約書は確かに日本語で記載されていますが、そこで使われている日本語は、普段の皆様の会話で使われている日本語と異なり、法律というルールを前提に記載されたものです。
 この法律というものが厄介で、
 ①契約書や利用規約において定めたとしても、法律により強制的に無効にされてしまうこと
 ②契約書や利用規約において定めていない部分の取り決めについて、法律により勝手に定められてしまうこと
等の事態が生じ得ます。そして、更に厄介なことに、これらのルールは白黒はっきりしたものではないうえに、事案や状況が異なれば結論も変わってしまうものです。
 そのような前提がある中で、他社の利用規約やインターネットに落ちていた利用規約の雛形(そもそも、これらが法的に適切に作成されたものかは定かではありません)を法的検証もせずに使ってサービスを開始するということは、これから不動産等の高価な売買をされる際に、商品の諸条件を確認しないで行うことに等しいといえます。

(2)「法的検証を自前でやるのが難しいのは理解した、そうはいっても弁護士に頼むと報酬がかかるがとりあえず始めたいから、利用者や取引先が増えてからでいい」と思われた方もいるでしょう。
 しかし、契約の内容は一方的に変更できません。これは、利用規約であっても同様であり、「規約変更」といった条項を設けたからといって、一律に行えるわけではありません。
 「利用規約」という名称であっても、そこで成立するのは契約です。
 この段階になって、利用規約をカスタマイズしていくためには、利用者や取引先からクレームが生じ得ますし、法的な主張がされ得ます。

(3)以上の内容は、利用規約がメインでした。そうなると、「うちは業務委託契約であるから関係ない」と思われた皆様もいるでしょう。しかし、利用者や取引先が契約をやめたいといった場合については想定されておりますでしょうか。
 例えば、業務委託契約(準委任)においては、契約において定めがない限りは中途解約が原則自由となっていますが、皆様が取引先から提示された契約書においてはどのようになっているでしょうか。

(4)話は変わりますが、皆様が行われている、サービスや業務は適法でしょうか。例えば、利用者間での取引を行うプラットフォームにおいて、貴社が利用者間でやり取りされる代金を特段の手当てなく受領することは資金決済法違反となり得ますし、人材のマッチングや求職者情報のやり取りを許可や届出なく行うことは職業安定法違反になります。
 法律違反であることが当該法律の管轄当局に発見されれば事業をやめざるを得ないどころか、行政処分の対象になるおそれもあります。取引先に指摘されれば契約をやめざるを得ませんし、レピュテーションリスクも生じます。当然、事業はクローズや変更を余儀なくされるでしょう。

(5)ここまでお読みになっていただければお分かりになるかと思いますが、契約書や利用規約は、契約開始時はもちろん、契約中や契約終了後の定めを規律するものであり、利用者や取引先との間の付き合い方を定める重要なものになります。にもかかわらず、これらを以前使ったものの使いまわしや他社のコピペで済ませるということは、事業運営を博打として行うことにほかなりません。
 皆様が、市場調査やUI/UXのデザインを行い、マーケティングに力を入れたとしても、それはすべて上記のような不確定要素を孕んだ博打のうえで行うことになりません。私自身、普段の業務において、上記のような検討を経ずにトラブルが生じてからご相談に来られるお客様の対応をすることもありますが、その段階になって後悔されるお客様がほとんどであり、私も悔しい思いをすることが多いです。
 事業を新たに始められることは素晴らしいことであり、皆様がそのような思いをされないためにも、是非、ご相談をして欲しいと感じます。

弁護士への依頼の仕方

 では、どのように弁護士に依頼すればいいでしょうか。
 これは弁護士にもよるところではあり一概にはいえませんが、私としてはサービスや事業構想の段階でまずはMTG等でのご相談をおすすめいたします。
 ある程度進んだ段階で、規制の関係で想定されるサービスや事業の構想が立ちいかなくなることを避けるためです。また、私の場合は、その段階で、料金設計等についての打ち手になることで、法的に皆様に有利な形でのご提案をすることも可能です。そのような打ち合いを経ることで、具体的にサービス運用開始後のことも踏まえたサービスや事業の設計をすることができます(お客様においてネックと思われていた部分が、契約の定め方で解決することができると理解していただくこともよくあります)。
 それらを踏まえて、サービスや事業のローンチ開始日に向けて、利用規約や契約書を作成させていただくとよいかと存じます。
 (急に私のPRになってしまいますが)私においては、普段から、多様な種類のサービスや事業をやられている多くのお客様のご相談に対応させていただいている関係上、お客様がやられようとしているサービスや事業を行っていくうえで生じる具体的なリスク、トラブル、お悩みについての知見があります。そのため、運用開始前から運用開始後においても、法的にはもちろん、ビジネス的な観点からもサポートさせていただくことは可能と自負しておりますので、よろしければ一度ご相談いただければ幸いです。

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